【愛生きバックナンバー】悲しみに惚れる

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メルマガ『愛がなきゃ生きていけない』掲載のコラムです。
vol.21(2003.5.10配信)

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当時、本人(元彼)に許可をもらって登場させたこのコラム。
しかしそれからわずか数カ月後、この彼とは「二度と会わない」関係になりました。

一度はすべてを捧げてもいいほど好きになった人だから、たとえ恋人関係(という契約)を維持できなくなったとしても、友達という関係に変化させて仲良くできるのであればいい、とあたしは思っています。
もちろんそれは、相手も「友達として、これからも仲良くしよう」という意思の合致があることが前提。

ただし、どちらか一方が「もう一度やり直そう」という気持ちになってしまった場合はジ・エンド。
相手の希望に応えられないのであれば、中途半端に期待させるような関係でいるのは残酷なこと。次の恋へと進んでもらうためにも、未練を残さないよう縁を切るのがあたしのポリシーです。

その後、この彼とは(復縁を迫られた時期に)すったもんだあったので、もう二度と連絡を取ることはないでしょう。
博識で高収入で育ちもいい、わりと高スペックな人だったんですけどね(ぉぃ
つくづく、男を条件で選ばない女です。笑

悲しみに惚れる

数年前、あたしはショックでやつれてしまうほどの失恋をしました。
その頃、毎日顔を合わせる仕事仲間だった彼は、そんなあたしがいたたまれなかったらしく、頻繁に飲みに連れ出し、元気付けてくれました。

彼は「どうやって女を喜ばせるか」といったテクニックに疎く、あたしより年下なのにたくさん稼いでいたこともあって、プレゼントやシティーホテルの贅沢など、まるでお水のお姉さんを喜ばせるようなアプローチばかりしてきました。
あたしは戸惑いつつも、その愛情表現の不器用さとストレートさが、次第に愛しくなりました。

そしていつしか根負けするようなカタチで、彼とのお付き合いは始まりました。

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正直、彼に惚れたのは、お付き合いが始まってしばらくしてから。

積極的なアプローチなど最初のウチだけだと、あたしはクールに捉えていました。
彼の真摯な態度に好感は持っていても「惚れる」という次元はまた別の話。
そんなあたしが彼に惚れたのは、彼の持つ「悲しみ」を知った時。

人生若干30年、あたしはおそらく「しなくてもいい」ほどの経験や回り道をして、その中で悲しみや挫折を味わいました。
だけどそれを乗り越え、それでもいつか幸せを掴みたいと願っています。

そんな気持ちを分かち合えるのは、同じように悲しみを乗り越えてきたヒトだけ。
だけど、見るからに哀愁を背負い同情を買おうとするような「悲しみに酔った」タイプだったら、あたしは絶対に惚れません。
むしろ惹かれてしまうのは、普段明るくできるようなそのヒトの「強さ」。

「悲しみ」を抱えながら、それでも一匹狼的な生き方をしている彼。
そんな強さと脆さを併せ持ったような一面を知り「コイツには心を開ける」と、あたしは感じたのでした。

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正直、付き合い始めたはいいが、考え方の異なる二人は衝突ばかり。
もっとこうして欲しい、といった各々の要求を掲げて文句を言い合うような状態に、
「そんなに不満があるなら、いっそ別れてしまえばいい」
短気なあたしは何度もそう思いました。

だけど、彼の懸命に歩み寄ろうとする真剣さに、あたしの心は、だんだんとほぐれていきました。
人付き合いが苦手で不器用な彼だからこそ、愛するヒトとだけはわかり合いたいと、努力してくれたのだと思います。

結婚時代にダンナちゃんから学んだ「向き合うこと」の大事さ。
彼とぶつかりながらも向き合おうとあたしも努力し、2年の月日が経った頃、ようやく二人は心穏やかに日々を過ごせるほど親しくなりました。

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そんな恋を終わらせてしまったのは、あたしの一方的な心変わり。
「あうん」の呼吸が惰性を生み始めた頃、偶然のタイミングであたしは新しい恋に目覚めてしまい、彼との関係を続けていけなくなりました。

当然ながら、彼はそんな突然の別れを簡単に受け入れることはできませんでした。
一時は刺すか刺されるか、くらいの激しいバトルにもなりました。

でも、彼を傷つけたのはあたし。

彼の性質を理解しているからこそ、逃げずに最後まで接しようと思いました。
数ヶ月を経て、ようやく彼も「覆水盆に返らず」な状態に納得し、最後は握手して恋人関係に「さよなら」しました。

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たくさん会話をして、お互いを分かり合おうとした関係は、たとえ恋人関係は終わってしまっても、いつしか幼馴染みのような関係に変化します。
恋人としてお互いを知り尽くした間柄だからこそわかりあえる「元彼」という存在は、友達の中でもちょっとだけ特別です。

だけど今は別々の道を歩いているから、いくら寂しさを痛いほどわかっても、以前のように手を差し伸べるコトはできません。

「あたし以上のいいオンナなんていないよ」
なんてあたしも悪言をかましつつ、女性に誠実で「いい男」な彼には、それを理解してくれるようなヒトを早く見つけられたらいいな、と思っています。

今あたしにできるのは、彼の幸せを祈るコトだけだから……。

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