本名で呼ばれたいときもある

戯言

「島田佳奈」という名はペンネームです。
取引先には周知のこと(振込口座や請求書は本名なので)ですが、作家になってからの友人知人の中には、あたしの本名を知らない人のほうが多いかもしれません。

ペンネームで活動するようになったのは、作家デビューと同時。
フリーライター時代は(クレジットが載らないモノしか書いていなかったため)本名でしたが、初連載をいただいたとき(11年前)「今後、名の知れた作家になったら」と野心を抱き、ペンネーム「島田佳奈」をつけました。

ペンネームをつけた理由は至極単純。
当時、まだ親に執筆業をやっていることを内緒にしていたからです。

いくら親が見ていない媒体であろうと、親族や昔の同級生が見れば、親の耳に入らないとも限りません。
当時のあたしはまだ「親にバレたらこの仕事を続けられなくなる」とビビるヘタレだったので、親バレしないことが作家を続ける上で大事なことだったのです。
(現在はカミングアウト済)

「親に読まれることを意識したら、書くものが制限されてしまう」
当時のあたしは、こうも考えていました。今思えば、覚悟が足りなかったんですよね。

どんな執筆物もあたしが生み出したもの。後ろ指刺されようと、万が一親に勘当されようと、ポリシーもって作家やってるならば、気にする必要はなかったはず。
しかし、下半身ネタの原稿を親が読んだら卒倒するでしょう(笑)まだ読まれていないことを願うばかりw

作家業も10年以上やっていると、本名で呼ばれる場面が圧倒的に少なくなります。
銀行や郵便局や病院の窓口と、あとは完全プライベートで知り合った友人くらい。仕事以外でも出会って名刺交換するときにわざわざ本名を明かしたりしませんから、昔からの友人以外は皆あたしのことを「佳奈さん」と呼びます。
そしてあたし自身、もはや島田佳奈が本名かと勘違いしそうなほど、呼ばれることにも慣れてしまっています。

ペンネームを使うことのメリットは、プライベートを極力切り離せること。
つけた当時はそこまで想定してなかったんですが、今となっては本名で活動しなくてよかったと思うほど。だって普段着+すっぴんで近所の病院へ行って「あの人作家の……」と受付でヒソヒソ言われたらイヤですもん。
まー残念ながらあたしはそこまで知名度ないので、もし現在本名で活動していたとしても、バレないどころか気づかれない可能性大ですが。
(あ、目から汗が……)

そんなあたしでも、好きな男からだけは本名で呼ばれることを望みます。
だってベッドの上で「佳奈……」なんて呼ばれたら、お仕事モードになっちゃいそうだもん。実際そう呼ばれて若干萎えたことあったし。
(本名明かしてない相手と寝たのかよ、というツッコミは受けつけません)

ペンネームで呼ばれてばかりの生活をしていると、本名(しかもファーストネーム)で呼ばれたときに「きゅん」としますね。特に好きな男からは。
特別キャラ作っているわけでもないから、どっちの名前で呼ばれても困らないのだけど。
それでもやっぱり「島田佳奈を脱ぎ捨てた、素の自分」に触れられているような気分は、本名で呼ばれるからこそ実感できるわけで。

好きな男から本名で呼ばれる──そのON/OFFのドキドキに萌えるあたしは、今後も本名を(公式の場では)秘密にしておこうと思います(笑)

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