【愛生きバックナンバー】ひとりの週末

バックナンバー

メルマガ『愛がなきゃ生きていけない』掲載のコラムです。
vol.37(2003.8.31配信)

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「34歳のあたし」って、病んでたなー。笑
この頃、毎週末メルマガを配信できたのは、ひとえに「独りの週末に何をすればいいのかわからない」からだったのかと。

ひとりの週末

その昔、あたしには「一人で過ごす」週末など考えられませんでした。
なぜなら、週末は「恋人と一緒の時間を持つ」のが当然だと考えていたから。

それぞれに、事情はありました。

恋人の仕事の都合で生活時間帯にズレがあったため、丸一日一緒にいられるのは週末だけという場合。
束縛屋な恋人で、週末は必ず逢うことを強いられていた関係。
結婚し、夫と過ごすのが当然と思われた時代。
スープの冷めない距離にいたので、週末同棲になった成り行き。

そんな数々のシチュエーションの中、あたしには「週末くらいは恋人を優先すべき」という固定概念が、いつしか植え付けられていったのでした。

* * * * * * * *

当時のパートナとは、お互い友人との約束を週末に入れたい場合、事前にお伺いをたてて承諾を取る、なんていう「優先順位を崩さないためのルール」まで、ごく当たり前にあたしは受け入れていました。

その発想が崩れたのは……家庭を持っている♂と恋愛を経験した時。

いくら平日はカウンターでグラスを傾ける時間が持てても、週末は、当然ながら家庭を優先せざるを得ない状況。

一人の週末がレギュラーになったのが初めてだったあたし。
「週末はオトコ最優先なオンナ」だと周囲にも思われていたあたし。

だから、誰もあたしを週末に誘ったりしません。
あたしの方でも「友人とヒマを潰して、寂しさをごまかしているように思われたくない」と妙なプライドが邪魔して、自分から誘うのを躊躇していました。

週末の長い時間。
あたしは一人では何をしていいのかわからないほど「二人週末」の呪縛にかかっていました。

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週末を恋人のために空ける癖。
そのために平日のアフターをやりくりするのが上手くなりすぎたあたし。

決してそれまで一人の週末がなかったワケじゃありません。

たまの「逢えない」一人の週末。
例えば、彼との時間を新鮮にするために、部屋の模様替え。
例えば、彼に次に食べさせるための、新メニューの試作。
例えば、彼の部屋に掛けるカーテン作り。

そんな「恋人中心」の週末。
逢えなくても、愛するオトコが心にある時間は楽しい。

だけど。
家庭を持っているオトコとは、それは叶わぬ夢ばかり。
彼を思って何か行動するほど、余計心が寂しく感じました。

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あたしはずるい女です。

それまでだって、恋人とケンカしたり心がすれ違い始めるのに比例して、一人の週末はたくさんあったはず。

恋人とうまくいっていて事情で会えない週末は前述のように過ごしても、お別れのカウントダウンかと思うような状態での「一人」の週末、あたしは寂しさを紛らわすために、他のオトコと過ごしていました。

一度目は、余計虚しくなり後悔する。
二度目は、だって寂しいんだもん、と自分に言い訳する。
三度目は、そのオトコと過ごす時間の方が笑っている自分に気づく。

四度目は……
今、目の前にいる男と、この先の週末をレギュラーにしようかと葛藤する。

そして五度目あたりに……
あたしの部屋にある歯ブラシの持ち主が変わっていく。

それは、決して「一人」にならないための自己防衛だったのかもしれません。

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週末に一人だからって、寂しく思わなくなったのは、ごく最近。

多忙な仕事になり、平日アフターの自由を奪われた頃「週末の貴重な休みくらい、自分のために使いたい」と、あたしの中の発想が変化していきました。

愛するヒトを優先しなくなったのではありません。
だけど、相手にとってもその週末は貴重な休みなのだと、その時初めて、理解を示せるようになりました。

それでもずっと逢えなかったら、不安がないワケではありません。
だけど「信じる」以外に方法はないのです。

アレコレ詮索して気分を害するより、ただありのままを受け入れる。
見えないモノは、ないモノだと思いこむ。
そんな「関係をうまく持続していくための知恵」も、家庭中心のオトコを愛していた時期に身につけました。

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ずっとずっと、楽しい時間を重ねてゆきたい。
また次に逢った時に、お互いが笑顔でいられるのがいい。

それがあたしの恋愛の目指すカタチだということを忘れなければ、時折寂しく思ってもいいのです。

だけど……
自分をごまかすのは、なかなか上手くなれません。

「寂しいな」

この一言が素直に言えないほど、あたしは「物分りのいいオトナ」の役を演じるのだけは、どうやら上手くなってしまったようです……。

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