年寄り扱いすりゃ怒るくせに「もう歳だから」と言い張る、老人の矛盾。

戯言

今年の父の日、あたしはうっかり(第三日曜とは知らず)ハマスタ交流戦の予定を入れてしまった。
だが、幸い父のほうもデート(菖蒲を観に母と茨城へ)だったおかげで、親不孝と罵られずに済んだ。ラッキー。

翌日の夕方、あたしは徒歩10分の実家へ出向き、一日遅れでプレゼントと感謝の弁を述べた。
プレゼントはゴルフ用のポロシャツ。父は、ほぼ1年中ゴルフ用のシャツを着ているので、何枚あっても困らないアイテムと娘たちは思っている。つまり姉も、父親へのプレゼントはだいたいゴルフ用のポロシャツを贈っているということだ(笑)

以前、姉が贈ってきたシャツをあたしに見せて、父はこう言った。
「ずいぶん地味だと思わないか? おじいさんみたいだよ」
そのポロシャツは、グレー地にアクセントで黄色とか水色っぽいラインが入っていた。

地味かどうかより、あたしは父の「おじいさんみたい」という言葉が引っかかった。
そのとき父は、すでに70代。どこから見ても立派なおじいさんだ(笑)

人間、年寄りになるほど、自分が老人になったことを認めたくなくなるものらしい。
母もグレーやブラウンといった地味な色を好まない。40代あたりまでは着ていたような気がするのだが、今は逆にパープルやエンジやゴールドといった「原色ではないが派手目」な色や、ラメでキラキラしたアイテムを好む。

かたや父のほうは、白やベージュを着ていることが多い。ブルーやネイビー、グリーンやイエロー(ひよこ色)のシャツは、ほぼ娘たちからのプレゼントだ。
「おじいさんみたい」発言以来、娘たちは悩みつつ「老人が着ても基地外っぽくならないハッキリした色」のアイテムを贈るようにしている。白髪もキレイに黒く染め上げているせいか、ウチの両親(特に父)は実年齢より10歳くらい若く見える。

前置きが長くなったが、今年のポロシャツはオレンジを選んだ。
さすがに原色系ではなく、少しくすんだ淡いカラー。少々若すぎかと思ったが、件の発言を言われるよりはマシかと判断した。

これね。実際はもっと鮮やかな色。
ブランド的にも80代が着るモンじゃーない(笑)

プレゼントの箱を開けた父は、そのシャツを見てこう言った。
「ちょっと地味じゃないか? お父さん、毎年1歳ずつトシを『取ってる』んだぞ」

(◎_◎;)!!

……これは「歳をとる=1歳ずつマイナスする」という意味のギャグなのか。
あるいは、いよいよボケが始まってきたのか。
80代のじーさんが言うと、シャレにならないから怖い。

「お父さん、東京オリンピックまで生きていないから」
4年前に言った父のセリフ。本人はブラックジョークのつもりだったのだろう。
死にそうなじーさんが言ったらシャレにならないが、元気すぎる父が言えば「なんの御冗談を」で済まされる。
オリンピックが3年後に迫ってきた現在、この分だと確実に生き延びると思われる(殺されたり事故にでも遭わない限りは)。

人間80年も生きていれば、年齢さえも「気の持ちよう」で操れる領域に達するのかもしれない。
よもやあと5回くらいオリンピックを観ることができそうな父は、その頃63歳になる計算だ。
20年後には、あたしより若くなっちまうのか……。笑

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