カレーに殺されそうになった話(前編)

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物騒なタイトルですが、これは実話です。

7月某日のこと。
ヒキコモリだったその日、以前パッケージに惹かれて買っておいた「18禁カレー」なるものを晩飯にしようと、ご飯を炊いてカレーを温めました(レトルトだからね)。

20160811
これがその18禁カレー。
毒々しいパッケージからして、そそられるでしょ?
ちなみにシリーズは「元祖」「痛い」があり、あたしが買ったのは「超痛辛」という、最も辛いヤツだったもよう。

さほど得意ではないくせに、辛いモノは割と好きなあたし。
「まー完食できるかはわからないが、話のネタに食べてみよう」
そのくらい気楽な気持ちでのチャレンジでした。

食べる前からツンとくる刺激臭。
(写真失念)
一瞬ひるむも、とにかく食べてみることに。

1口目。うん、けっこーシビレるね。
2口目。ジワジワきてるね。舌がビリビリする!
3口目。ん?後からさらに辛くなるタイプか?イヤな予感が……。
そして4口目を飲み込むか飲み込まないか……というところで、食道から胃にかけてカーッと燃えるような感覚とともに、顔および頭皮から一気に汗が噴き出しました。

(コレはヤバイかも……)

もう、スプーンからカレーを口に運ぶ気合いは消失。
すぐに常温のミネラルウォーターを飲んだら、口中の辛さはほんのり和らぎました。
しかし、炎が燃えたぎるような胃の痛みは治まらず。

「そうだ! 乳製品を摂れば胃の粘膜を保護して痛みが引くかも」
冷蔵庫を開けたら牛乳はナシ。代わりにあった豆乳をコップ一杯、一気に飲み干しました。

やれやれ、これで大丈夫だろう……と自分に言い聞かせ、残ったカレーはさすがに食べるのが怖くなったものの「明日、牛乳と玉子で薄めて炒めてカレーチャーハンにアレンジしよう」と呑気にラップして冷蔵庫へ。←意外と貧乏症

数分後。
傷みは治まるどころかさらに増し、吐き気に襲われました。
「!!!!?」
すぐさまトイレで便器を抱えるも、たった4口しか食べていないカレーは吐き出される気配ナシ。
なんとなくお腹も壊れそうな気がしたので便器に座り直すも、何も出る予感はナシ。

下腹部のヤバさは落ち着いたものの、吐き気は治まらず。
再び便器を抱え、あたしはしばらく動けなくなっていました。

胃の痛みはどんどん増して、全身から汗が滝のように流れてきます。
洗面所からキッチンまではほんの2~3歩。しかし立ち上がる気力もなく震えが止まらず、水を取りに行くことさえできない状態。
しまいには、しゃがんで便器を抱える体勢すら辛くなり、その場に倒れました。

独り暮らしのあたしは、地震などの非常事態に備え、トイレ時はドアを半開きにする習慣があります。
いつまでもトイレから出てこないあたしを心配したのか、愛犬エディが様子を見にやってきました。
そしてヤツは、だくだくと流れる顔の汗をペロリとひと舐めして、添い寝するように伏せました。

薄れる意識の中(やっぱり犬は使えねぇ……)と思い、あたしは救急車を自力で呼ぼうと決意しました。

繰り返しになりますが、独り暮らしのあたしは、ほにゃらら(省略)に備え、トイレ時もスマホを持って入ります。
しかしスマホは洗面台の上。床に倒れて胃を押さえうずくまってるあたしには、あとちょっとの高さが届きません。
(嗚呼……まさかこんなことで死ぬなんて……)
この時、すでに脱水症状と過呼吸まで起きていたあたしは、脳裏に「死」が浮かびました。

スマホに手が届かなければ、救急車を呼ぶこともできません。
カレーによって人生を終えるなんて、誰が予想したでしょう。

(最期まで、笑われてばかりの人生だったな……)

なんだかそれもあたしらしいと思ったら、おかしさがこみ上げてきました。
情けなさ半分、おかしさ半分で涙が出てきたら、ちょっと気力が戻ってきました。
次の瞬間、最後の力を振り絞って起き上がり、痺れた手でプルプルしながら上体を支えつつ、スマホに手を伸ばしました。

火事場の馬鹿力。人間、死ぬ間際でも「生きたい」欲求さえあれば、どこからか力がみなぎるものです。
しかしスマホが手の届く位置になかったら、力尽きていたかもしれません(大げさ)。

スマホを手にしたあたしは再び倒れ、横になったまま119番し、泣きながら状況を説明しました。
「カレー!?」
その言葉を反復した相手が笑いをこらえたのを、あたしは聞き逃しませんでした。

(だよね……笑うところだよね……)
死にそうなほどの情けなさ。まさに字のごとく死にそうだったあたしは「死んだほうがマシかも」と思いながら電話を切ったのでした。

後編につづく)

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