選んでから選ばれるか。選ばれた中から選ぶか。

戯言

人生は常に選択の連続である。
我々は、その瞬間にとって「一番いい(と思われる)もの」を選び進んでいる。だが後になって「間違えた」という結果になることも多々ある。
どんな失敗も失敗だと捉えないことは、生きていく上で大事なスキルだ。後悔はしても、果敢にまた次のステージへと挑戦を繰り返す前向きな精神があれば、次第に(自分にとって)ベストなものを選び取れるようになるだろう。

人間は誰しも「成長したい」「向上したい」欲がある。
だから必死であろうとなかろうと、前に向かって進む限り、少なくとも「あの時よりはマシ」なほうへと流れていくはずだ。

いろんな選択を繰り返す人生において、恋愛に関しては「選ばれる」場面が生じる。

どんなに世間が「おひとりさま」に優しくなろうと、恋愛だけは相手がいなければ始まらない。
片思いのうちは「選ぶ」だけで済むが、恋人同士になるためには双方の「選ぶ」相手が合致しなければならない。

相手が自分を「選ぶ」というのは、相手から自分が「選ばれる」ことと同義である。
それ故、恋愛ノウハウの類には「彼から選ばれる極意」のような受け身のアドバイスが求められる。
生涯の伴侶にしても同じこと。いくら自分がいいと思う異性を選ぼうと、相手からも選ばれなければ結婚は成立しない。

選ばれた中から選ぶためには「モテる」ことが前提となる

「愛され〇〇」という言葉にモヤッとする女は多い。
愛されるために自分の何かを(自分らしくないものへと)変えるのは、受け身どころか「男に媚びる」女を目指すようなニュアンスが見え隠れするからだ。
不特定多数にモテるよりは、特定の男に愛されるほうがいいに決まってる。しかし、モテと同じレベルのお手軽なテクニックで愛されるはずがないことも、ある程度恋愛を経験した女ならわかっている。

愛されたいと望んでいるくせに、あざとい小技ひとつで簡単になびくような男は安く見えてしまう。そんな矛盾に陥るくらいなら、モテテクを発揮して(雑魚を含めた)多数の男を振り向かせるほうがマシだ。

恋愛に対し受け身でいるのは、一見楽そうに思える。
だが受け身で「いい男に選ばれる」クラスになるのは、並大抵の所業ではない。

モテてチヤホヤされれば、自身の女ランクが相対的にアップする。
「他の男のモノ」にならないうちにと、男たちのアプローチも積極的になってくる。
多くの男からモテるレベルになれば、おのずと自身の相場(商品価値)は高くなる。
そして「無理めな女」にまで君臨すれば、雑魚モテは減り、果敢にいい女を口説ける「いい男」が寄ってくるようになるだろう。

だが最終段階の「いい男」にモテる女は、テクニックなど習得せずとも素のままで男を夢中にさせられる「天が二物も三物も与えている」美女くらいなものだ。
瞬間風速的な「ちょいモテ」ならさほど難しくはないが、いい男が寄ってくる段階まで到達するには「ずっとモテ」続けなければならない。
美人だけでなくスタイルもいい、性格も素直で明るい……そんな天性のモテ女でなければ、いつかはメッキが剥がれてしまうだろう。

受け身でモテる女ならば、多数の男から選ばれる。
あとはその中から自分にとってベストな男を選べばいい。

先に選びたい女は、ひとりに選ばれる「愛され」スキルが求められる

しかし欲張りな女は、どれだけ候補者が現れようと、その限りある中から選ぶことに難儀を示す。

「いい男を選ぶには、母数が多くなくては」
モテるモテないに関わらず、世界中の男を対象として誰かひとりを選ぶ(≒好きになる)ならば、納得のチョイスと思われる。
しかし先に述べたように、恋人同士になるためには「選ばれる」過程を抜きにすることはできない。
自分以外の女が視界に入らないよう好きな男を軟禁し、金から肉体からすべてをエサに囲い込み「ここまで愛してくれる女は世界中に君しかいない」と思わせることができればいいが、そんな犯罪級のエネルギーを注ぎ込むことは到底不可能なので、常識的には「好きな彼を振り向かせる」「夢中にさせる」などの恋愛テクニックを駆使し、うまくいく可能性に賭けるしか方法はない。

前者の「モテるところから始める」恋愛は、選ばれてから選ぶケースとなる。
後者の「惚れた男に愛されるようがんばる」恋愛は、選んでから選ばれるケースとなる。

よくよく考えてみれば、選ばれるというプロセスがある以上、女の恋愛には「モテ」や「愛され」といった「受け身の恋愛テクニック」を避けて通ることができないのかもしれない。
しかし、どんな女も本音としては、受け身にならず「私が選ぶ男は、必ず私を好きになる」くらい自在に恋ができればいいと望んでいるだろう。女王レベルの思い込みのまま、何の努力もせず「いつか白馬に乗った王子さまが」などと妄想ばかり発達してしまう女も決して少なくはない。

選ばれなくても死なないが、選びたいなら積極的に

人生は選択の連続だ。だが恋愛においては、選ぶことも選ばれることも放棄したって死ぬわけじゃない。
躍起になって選んだり選ばれたりという戦場で戦うのも素晴らしいが、「縁があれば」というぬるいニュアンスで構えるというのも余裕があってカッコイイ気がする。

だけどひとつだけ言っておこう。
しなくても死なない恋愛や結婚だからこそ、能動的に「したい」と前のめりにならなければ、縁すら見逃してしまう。

大人の女は特に、ライフプランから恋愛や結婚を排除するつもりでない限り、相手を選んだり選ばれたりするプロセスを積みまくったほうがいい。発情期の20代を過ぎた後は、よほどモテる女でない限り、何もしなくても向こうから縁がやってくるなんて少女マンガのような展開は、奇跡レベルでしか起こらない。

選んでも選ばれないこともある。選んでくれた男を選べないこともある。
だがいろんな恋を経験し、泣いたり笑ったり怒ったり落ち込んだり、心を揺さぶられていくうちに、いつか「自分にとってベストなひとり」との縁は訪れる。
そこにたどり着くまでの恋は、失敗なんかじゃない。「自分には向いていない」男を知るための経験だったと思えばいい。

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