メルマガ『愛がなきゃ生きていけない』掲載のコラムです。
vol.5(2003.1.18配信)
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このコラムがバズったらしく、その後一気に読者さんが増えたんですよね。
で、「そうか、不倫ネタはウケるのか」と味をシメてしまったという(笑)
この「2千万の男」は、処女作『人のオトコを奪る方法』にも登場しています。
後にも先にも「愛人になってもいい」と思わせたのは、この人だけ。罪な男よね……w
「2千万の男」
あたしは結婚している男と恋愛したことがあります。
端的に言えば「不倫」の関係です。そんな陳腐な言葉で片付けたくないけど。
アソビの恋愛なら、相手が彼女持ちであろうと妻子持ちであろうと、倫理観など気にしないアンモラルなあたしですが(女性の敵ですね)、本気の恋愛では「未来に『結婚』がタブーとなるような男は相手にしない」というポリシーもあったので、まさか自分がそんなタブーな相手を好きになるとは思ってもみませんでした。
最初はただの友人でした。
男を意識するようになってしまったのは、やはり一線を超えてしまってから。
それも、なるようになったワケではなく、お互い「魔が差した」ようなタイミング。
彼とは、ただアフターに飲んだり、家族が帰省しているスキに逢ったりする程度で、基本的にはメールが中心のプラトニックな関係でした。
それ以上の進展は、お互い望んでいなかったように思えます。
あたしは常に「お借りしている」ような気分だったし、向こうも家庭とのバランスを崩さずにうまく振舞っていました。
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そんな不毛な関係でも、夢くらいは語ります。
ある日、彼は言いました。
「万が一ウチにバレて離婚となったら、次はオマエと、なんて考えるよ」
彼が家庭を壊す気なんてないコトを承知でも、そんな言葉があたしを酔わせた日もありました。
先のない恋愛は、ある意味「純愛」に近いとあたしは思いました。
ただ彼が好き。それ以外に傍にいる理由なんてないのです。
何も手に入らない相手なんだから、逢ったりメールをくれる「時間」だけでも嬉しいと思えるのです。
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ある日あたしは言いました。
「ね、いくら出したらあなたを買うことができる?」
彼は、それが言葉遊びなのもちゃんとわかっていて、こう答えました。
「2千万」
それだけあれば、自ら離婚を切り出して慰謝料払ってもおつりが出るし、その金額で養ってくれるなら仕事を辞めておまえのモノになる、と。
一瞬あたしは思いました。
いつか本当にそれだけの稼ぎができるようになったら、もう一度言ってやる。
2千万出せるオンナに言われても、あなたは同じ答えを返してくれるのかしら……?
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不毛な恋愛は、いつしか変化していきました。
苦しまないうちに、一度は「卒業」して、他の男の元へあたしは旅立ちました。
その男と別れた後、喪失感に耐えられず、あたしは再び不毛な恋愛に流されていきました。だけど……。
過去楽しめたはずの純愛も、寂しさを埋めるためには足りませんでした。
あたしがいてもいなくても、別れた男も不毛な男も、何も変わらないし何も困らない。
そう思ったら、ものすごく悲しい気持ちになりました。
あたしは、誰にも必要とされていないように感じました。
どうしようもない孤独感に打ちのめされ、徐々にあたしは情緒不安定になっていきました。
無意識に自分を追い詰めて、ストレスが心身を蝕んでいきました。
そしてコントロールできなくなった感情をぶつけた瞬間、刹那を楽しめなくなった彼は去り、不毛な恋愛は終止符を打ちました。
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彼が教えてくれた言葉があります。
「どんなコトも、十年後には笑って話せるようになればいい」
当時の不安定な精神状態から脱出し、小さな幸せを感じるようになったあたしは、今度もし彼に逢うことがあったとしても、きっと笑って話せるような気がします。
そして、もう二度と流されることはないでしょう。
早く、あなたとも笑って話せる日がくればいいね。