【愛生きバックナンバー】都合のいい女

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メルマガ『愛がなきゃ生きていけない』掲載のコラムです。
vol.43(2003.10.22配信)

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愛がなきゃ生きていけない - メルマガ
「オトナ」ならではの、グレーゾーンな恋愛。「オトナ」だからこその、なかなか言えない女心。作家・島田佳奈のルーツでもあるこのメルマガは、独りの夜にお読みください。

自分酔いマンセー。笑
もう、なんというか……20年後に読むと「よくもまぁ、平然と恥を晒していたもんだ」などと思ってしまう、レベル54の私。

当時「冷めている」などと分析していましたが、いえいえどうして、内側の熱さ満載ですがな。
己のことは一番客観視できないといいますが、まったくもって、できていませんでしたw

しかしなんでまぁ、都合のいい女ポジションになってしまったんでしょーね。
それでも「そばにいたい」女心は理解できますが、何もそこまで己の立場を落とす必要はなかったんじゃ?
もはや若い子のお母さん世代になっちまった今、自身のことながら娘のような感覚で、その痛々しさを愛しく感じます。

しょうがなかったんだよね。
あのときは、それしか思いつかなかったんだよね。
それがベストな選択だと、勘違いしちゃったんだよね。

傷つかなかったといえば嘘になるけど、ちゃんと「卒業」できてよかった。

都合のいい女

独特の響きを持つ言葉。
どこか奥底に、侮蔑のニュアンスが込められているような。

あたしはそんな生き方を選択したコトがあります。
しかも、一度ではありません。

* * * * * * * *

一度目は、その恋愛が終わりを告げるまで、全くの無自覚でした。

全てが過去になり、当時の自分を客観視できるようになって、初めて自分がセカンドの立場だったと思い知った瞬間。
「……あたしって、ホントおめでたいヒトだったんだわ」
と自らを罵るコトで、わずかに残っていた未練を振りきったのでした。

その後、家庭を持ったオトコを愛してしまった時、今度は「都合のいい女」の立場を自ら選びました。

彼の家庭を壊すつもりはありませんでした。
だけど、倫理に反する恋愛であるコトは否めない。
そんな相手との、いつか終わらせなくてはいけない幸せな時間。
猶予を長引かせたい気持ちと、同時に、胸の奥底にあった罪悪感を「そんな立場」だと自分に言い聞かせるコトで、誤魔化していたのでしょう。

あたしはただの都合のいい女だから。
彼には帰る家があるのだから。
いつかちゃんと終わらせるから。
だから。
今だけはこのぬくもりをあたしに頂戴。

当時を振り返ると、どこか切ない自分に酔っていたのかもしれません。

* * * * * * * *

冷めた視点で捉えれば、何も「都合のいい」のは相手のオトコだけではなかったようにも思えます。

深みにハマりたくない自分。
しがらみを壊す勇気を持たなかった自分。
彼のために失うことも傷つくことも、望んでいない自分。

一線を引いたポジションは、自己防衛の変化形。
つまり、あたしも相手を「都合のいい男」の立場においやっていたのです。
そう、臭いモノにフタをするように。

激しく燃えた僅かな時間は、彼の中にもあたしの中にも、小さな火傷の痕を残しただけ。

そんな恋愛ほど、いつまでも忘れられないモノだったりします。

* * * * * * * *

戦略として「都合のいい女」を演じるのは、ずるいかもしれません。

だけど、そこには傍目に映るほどの悲壮感はありません。
ヒロイズムに酔っていられる図太さと、したたかな計算が存在するならば、それはそれで幸せではないでしょうか?

真の幸福を手に入れて、失う不安に怯えるよりも、
「いつか幸せになりたい」
と願いつつ、切ない恋愛になるとわかっていながら一瞬の昂ぶりに身を投じる方を選んでしまうあたしは、実は都合のいい立場すらも楽しめるほど、どこか冷めているのかもしれません……。

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