メルマガ『愛がなきゃ生きていけない』掲載のコラムです。
vol.33(2003.8.3配信)
現在も配信中!(無料)
当時、あたしは34歳。
自分ではもうオトナだと思っていたし、世間からもオトナの女であることを要求される年頃だと思っていましたが、実態は……まだまだ幼かったですね。このコラムからもわかります(笑)
オトナと一口に言っても基準はさまざまですが、あたし定義では「物事の分別がつくこと」「己の感情をある程度抑制できること」ではないかなーと思います。
そういう意味では、レベル40あたりかな。本当の意味でオトナになれたのは。
寂しくないワケないじゃない
いつもは能天気で享楽的なあたし。
それでも、時折どうしようもなくネガティブになってしまうコトがあります。
どこでそのスイッチが入ってしまうのかは、なかなか自分でも制御できないのですが、一度そのスイッチが入ってしまうと、とことん凹みモードになってしまうのです。
例えば、愛するヒトからメールの返事がなかなかこないとき。
例えば、週末の予定がキャンセルされてしまったとき。
例えば、きっかけとなるNGワードを言われてしまったとき。
同じようなコトがあっても、何とも思わない時もあります。
だけどダメな時は「ちくん」と胸が小さく痛み、そこからだんだんとダークな気分が雨雲のように押し寄せてきます。
* * * * * * * *
NGワード。
それは、何気ない一言。
「寂しくない?」
「君は、強いよね?」
寂しくないよ。
あたしは強いから大丈夫。
どんな時でも、あたしはそう答えます。
そして、その実、本当は寂しくて甘えたいと思っていた自分や、強くなりきれない弱さを伝えられない歯痒さを感じ、素直になれなかった自分を悔やみ、落ちこんでしまうのです……。
* * * * * * * *
寂しさと上手に付き合えるようになりたい。
いつでも強くありたい。
あたしは常日頃、そう自分に言い聞かせています。
だってそれがあたしの描く「オトナのオンナ」のイメージだから。
そうなれるように振舞っていると、自分が一人でも寂しくない、強い精神力を持てたような気がしてきます。
もし、それが錯覚だとしても、強く願い、思いこんでいるうちに、いつか本当に強くなれるんじゃないか、と信じるあたしが、そこにはいます。
* * * * * * * *
だったらなぜ、あたしは他人にそのように思われた時にショックを受ける……?
わかってるの。
誰から指摘されても、ショックを受けるワケじゃない。
大好きなあのヒトにそう思われるのが、不本意なの。
勝手な言い分だと思います。
普段、寂しがり屋とか弱々しく扱われるのを不愉快に思うくせに、心のどこかで、
「あなたにだけは、甘えるコトを許して欲しい」
と期待しているのですから。
昔、付き合っていた彼に他に好きな女性ができて、別れを切り出された時に、
「お前は強いから。だけど彼女は俺が守ってやらなきゃダメなんだ」
と言われました。
2年以上も一緒にいて、時折甘えるあたしを受け入れてくれていたのに、このヒトは、一体あたしのどこを見ていたのだろう、とショックを受けました。
もう一人の彼女が弱さを前面に出すという、したたかな強さを持っているコトも知っていたあたしは、
「コイツは、オンナの表面しか見ていないんだな」
と思い、ひどく失望しました。
誰よりも傍にいても、強がっているあたしを見抜けない?
寂しくないわけ、ないじゃない。
ぬくもりが恋しい夜も、あるんだよ。
いつから、あたしは甘えられなくなってしまったのかな。
いつから、寂しくて構って欲しいと伝えられなくなってしまったのかな。
いつから、素直に泣けなくなってしまったのかな。
素直に弱さを出せないのは、可愛くない……?
* * * * * * * *
30代になって、オトナであることを当たり前のように要求されて、それなりに成熟し、オトナらしい思想や行動がとれるようになっても、弱さがなくなるワケじゃありません。
むしろ、面白おかしく何も考えずにいられた20代より、孤独感は重くのしかかり、家庭を築いていない今のあたしは将来も見えず、
「この先、あたしはどうなるんだろう」
と考えると、怖くて眠れなくなる日も生じるようになりました。
だけど、あたしは寂しさと上手に付き合えるようになりたい。
いつかは強がりじゃなく、本当に強くしなやかなオンナになりたい。
甘えられる場所は、たったひとつあればいい。
そう願い、明日からもあたしは「オトナのオンナ」を演じるのです。
たったひとつの場所を探しながら……。