振り返ってもハッキリと思い出せないのだが、少なくとも20代のうちは、いや30代半ばあたりまで、担当の美容師から尋ねられることはなかったはずだ。
ヘアサロンでオーダーするメニューが多くなるほど、当然ながら仕上がりまでの時間は長くなる。「カラー+カット+縮毛矯正(またはデジタルパーマ)+トリートメント」となれば、シャンプーやブローまで含めてトータル4時間超という長丁場だ。
(本来、カラーとパーマ系を同時にやるのはタブーなのだが、根元リタッチならやってくれるところもある)
今日もヘアサロンで「お手洗い大丈夫ですか?」と訊かれた。長丁場なときならともかく、リタッチとトリートメントの1.5時間ほどの合間だったので、あたしはすごく違和感を覚えた。
昔は訊かれなかったこの美容師マニュアル的な応対の変化は、時代によるものなのだろうか。それともあたしが中年になったから、美容師が気を遣ってくれるようになったのか。
(ヘアサロンではカルテに生年月日を記入しているので、こちらの年齢はバレている)
もし後者だとしたら、なんだかすごくトホホな気分になる。介護の必要なおばーちゃんじゃないんだし、行きたければ自ら申し出ればいいではないか。
無用ともいえるほどの気遣いは、ホスピタリティどころか「中年=頻尿とは限らないんだよボケェ!」と反発したくなるくらい、人によっては刺さるだろう。あたしはモヤる程度だったが、きれいになりにやってきたヘアサロンでBBA扱いされることは、さすがに「なんだかなー」と思わずにはいられなかった。
ただ、気遣いの裏に隠された美容師の考えも少しは想像がつく。なかなか言い出せない客もいるかもしれないし、逆にカラー剤を塗ってる最中やシャンプーの途中で「トイレ!」なんて叫ばれるのも対応に困るはずだ。ならば最初からいいタイミングで都度確認するほうが、お互い快適だろう。
今日担当した美容師は、トータル時間を考えず、いつも客に尋ねるタイミングでマニュアル通りに言っただけなのかもしれない。あたしが中年だから……なんてのは、ただの被害妄想である可能性は高い。まー被害云々じゃなく、どこから見ても立派な中年なのだから、傷つくこともないのだが。
中年のくせに中年扱いされるとモヤっとするのは、まだ己の老化を認めたくない何かがあるのだろうか。
アラフィフにもなって我ながら図々しい考えだと思ったが、その図々しさこそ「中年ならでは」現れる諸症状だと気づいた。
もう若くないことは、とっくに自認している。だが「老けている」側にくくられるのは、どうにも抵抗がある。
壮年や老年には満たない「中年」とは、まさにそういうお年頃なのだろう。
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